発酵バターの濃厚さとコク感を高める新たな風味設計技術を提案〜ジアセチル以外の香気成分の寄与を確認〜
2026/09/07

図 乳酸菌スターターおよび培養条件の違いが発酵バターの風味特性に及ぼす影響
発酵バターの風味に関しては、乳酸菌発酵によって生成されるジアセチルが発酵バター特有の香りを形成する主要成分として知られており、多くの研究開発が行われてきました。一方で、乳酸菌発酵では脂肪酸類やラクトン類などの香気成分も生成されることが報告されています。そこで当社は、これらの香気成分に着目し、ジアセチルとは異なる風味特長を有する発酵バターの開発可能性を検討しました。
今回、発酵バターは、できあがったバター粒に発酵させたミルク(乳酸菌を入れて発酵させた脱脂乳やバターミルク)を練りこむ方法で製造しました。乳酸菌スターターの種類および培地に使用する粉乳の種類や濃度の影響を検討し、官能評価およびSPME-GC/MSによる香気成分分析を実施しました。
その結果、一部の乳酸菌スターターを使用した条件では、コク感が強く感じられることを確認しました。また、培地のバターミルク粉(バター製造時に得られる副産物を乾燥した粉末)の濃度を16%以上とすることで、それらのバター風味特性はさらに向上しました。香気分析では、発酵後に脂肪酸類やラクトン類といったバターのコク感に寄与する香気成分を含む複数種の香気成分が増加する傾向を確認しました。さらに官能評価では、市販発酵バターと比較して濃厚さ、コク、後味において良好な評価を得ました。
本研究により、発酵バターの風味はジアセチルだけでなく、多様な香気成分によって形成される可能性が示されました。今後もこれらの知見を活用し、発酵バターの新たな風味価値創出に取り組んでまいります。
学会情報
タイトル:発酵バター製造技術について
学会名:酪農科学シンポジウム2026
発表者:松橋 崇行(雪印メグミルク株式会社 ミルクサイエンス研究所)
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