ホログラムは綺麗なだけじゃなくクレジットカードの真正性を示す

クレジットカードにはホログラムシールと呼ばれる三次元写真が貼り付けられています。見る角度によって色や模様が変わる、キラキラしたきれいなものです。

このホログラムですが、単なる装飾ではなく、偽造カードではないことを示すのが目的で取り付けられているのです。

ホログラムは偽造が難しい

ホログラムは、対象物にレーザーを当てると同時に、そのレーザー光を参照光としてハーフミラーを利用して分割して、再合成することで3次元画像を記録します。

ですので原版を入手しない限り、ホログラムとして完成した画像から、別のホログラムに複製することがかなり難しいものです。なので、偽造防止用としてよく利用されています。

お札にも使われている偽造防止技術

日本の一万円紙幣と五千円紙幣には、お札の表面左下にホログラムシールが貼り付けられています。銀色のキラキラした模様で、その周囲をよく見ると、ごく薄いフィルム状のものが貼ってあるのがわかります。

一万円紙幣は10000の数字と、日本銀行の社章、桜の花をモチーフにしていて、角度を変えるとこれらの絵が変化して見えます。五千円紙幣も外形が異なることと数字が5000になるだけで、モチーフは同じです。

一方、千円紙幣にはホログラムは取り付けられていません。左下には、傾けて見ると1000と千円の文字が交代に浮かび上がる潜像と呼ばれる加工が施されているだけです。

なぜ千円紙幣にはホログラムが付けられていないのかと言うと、それはコストの問題です。

ホログラムシールは結構コストがかかります。

ですから、額面金額が少ない千円紙幣には取り付けられていないのです。

クレジットカードのホログラムも偽造防止用

クレジットカードに取り付けられているホログラムも、カードが偽造されることを防ぐものです。でも、私たちが普段クレジットカードを使うシーンを想像してみると、カードの偽造を防止することに意味があるのだろうかと疑問に思うかも知れません。

ICチップを使った取引では、そもそもICチップの偽造が非常に難しいだけでなく、どのような処理でカードの真正性を確認しているのかの方法がわからないため、事実上偽造不可能です。

また、インターネット取引ではカードそのものを必要とせず、カード番号と名義人、有効期限、セキュリティコードに加えて、3Dセキュアによる本人確認で処理をしているため、カードを偽造する意味がありません。

こうしたカードの偽造防止技術が有効になるのは、磁気ストライプ取引でサインを要求される場合と、インプリンターを使ったアナログ取引の場合だけです。

カードを偽造する犯罪者たちは、スキミングなどの違法な手段でカード情報を入手したら、まずはネット取引で悪用しようとするでしょう。カード本体を偽造する手間と費用がかからないからです。

しかし、セキュリティコードがわからなかったり、3Dセキュアによる本人確認を突破できなかったりしたら、今度はクレジットカードそのものを偽造します。

カード番号と有効期限をエンボスした偽のカードを作り、その磁気ストライプにもその情報を書き込みます。そして、裏面のサインパネルにはそのカードを悪用する犯人が、カード名義人の名前でサインをするわけです。

そうすれば、店頭で伝票にサインを求められても、「本物のサイン」が書けるということになってしまいます。

ホログラムは肉眼だけで確認できる本物の証明

ホログラムは、目で見るだけでそれが確認できるシールですから、加盟店側に一切の負担なくカードの真正性を確認してもらえます。カード会社は「うちのカードにはこのシールが貼ってあります」と言うチラシを配布するだけでいいのです。

そうすれば、充分なインフラがない場所でも、クレジットカードの真贋が簡単に確認できるというわけです。

ただし、全く同じホログラムシールは作れなくても「似て非なるもの」ぐらいであれば作れるぐらい、現在の加工技術は進んでいます。もちろん本物を作る技術も進んでいますから、今後はもっと高度なホログラムが付けられるようになるかも知れません。

ホログラムは国際ブランドごとにデザインが違う

ホログラムのデザインは、クレジットカードの国際ブランド各社がそれぞれ決めており、プロパーカードでも提携カードでも、同じデザインのものが取り付けられています。

また、ホログラムをカードのどちらの面に取り付けるかという決まりはないため、デザインを勘案して各カード発行会社が決定しているようです。私の持っているVISAカードでも、裏のものと表のもの、両方があります。

磁気ストライプにホログラムを施したものもある

例えば、ダイナースクラブのクレジットカードでは、裏面の磁気ストライプがよくある狭い幅のものではなく、1センチ弱もある太い幅の、トラック3を省略していないものを使っています。

そして、そこにホログラムを施しているため、裏から見た時にカラフルで綺麗に見えます。こうしたものをホロマグと言いますが、デザイン上の差別化に利用されていることが見受けられます。

一説によると、スキミング防止の役目も持っていると噂されていますが、逆に読み取りに不具合が出やすいという欠点も持っています。

JCBカードでもこの方式を採用している上級カードがあります。一方VISAでは、以前この方式を採用していたものの、旧式のPOSレジで読み取れないトラブルが続発したため、この方式は使われなくなったようです。

最もメジャーな鳩と地球のマーク

VISAカードのホログラムは、羽ばたいている鳩の絵です。世界で最も使われている国際ブランドですので、目にする機会も多いんじゃないかと思います。

一方、マスターカードは、地球が2つ描かれたデザインです。マスターカードのシンボルマークは、円が2つ部分的に重なったベン図のようなデザインですから、地球をその円に見立てたデザインですね。

わが国発の国際ブランドであるJCBは地球の向こう側に太陽が見えるというデザインで、地球は全体ではなく一部になっています。

ダイナースクラブは、上でお話したとおり、トラック3がある幅広の磁気ストライプの上に、世界地図のホログラムを施した、ホロマグが採用されています。

アメリカンエクスプレスは、現在はホログラムは採用していないようです。以前はホロマグの形であったと思いますが、現在は設定されていないようです。

ホログラムがなければ偽造防止ができないわけではない

アメックスカードにホログラムがないと言われると、偽造防止は大丈夫なのかと心配になりますね。実はクレジットカードにはもう一つの偽造防止技術が用いられています。

この技術は、やはり日本の紙幣にも使われているものです。また、外国の紙幣でもよく見られますね。偽札の多い国では、必ずこれを確認しているようです。

それは紫外線に反応して蛍光を発する、肉眼では見えないインクで印刷された模様です。

VISAカードは、VISAのロゴに重ねてVの文字が浮かび上がります。問題のアメックスは、中央にローマ兵士の隊長の肖像が、それを挟んでAMとEXの大きな文字が浮かび上がります。

マスターカードは、カードの下半分にMとCの大きな文字が書かれています。JCBは、カードの右下に描かれているJCBのロゴと同じものが、左下に浮かんでくるようになっています。

ダイナースクラブの場合は、ダイナースクラブのシンボルマークが、券面中央に大きく描かれています。

なお、日本銀行券(お札)は、日本銀行のはんこが紫外線を当てると光るようになっています。また、この紫外線ですが、安物のブラックライトでは光りません。少なくとも波長が380nm未満のものでないとダメです。

一応、400nm未満であれば紫外線と言えなくもないのですが、このあたりだと目で見える人もいるぐらいです。偽造防止マーク確認のため買うのであれば、波長が365nm~375nmくらいのものがおすすめですよ。

日本ではあまり見ない国際ブランドのホログラムと蛍光文字

最近では日本でも一部で発行されるようになってきた、中国銀聯・UnionPayの国際ブランドのカードには、中国の昔の建築物で、塔のような感じの建物がホログラムになっています。

また、紫外線を当てると浮かび上がる文字については、カードの真ん中に大きく銀聯の2文字が中国の簡体文字で書かれています。

一方、アメリカが中心でマスターカードやJCBとの提携関係にあるディスカバーカードは、地球に矢が刺さって地球儀みたいになったホログラムが付いています。

紫外線を当てた時の文字は、DISCOVERと言うロゴマークがそのまま中央に浮かび上がるようになっています。

ホログラムも万全ではないので改善されてゆくと思われる

まず第一に、古くなったクレジットカードなどからホログラムを剥がして、偽のクレジットカードに貼り付けられないかという疑問が出てきますね。

実際、一万円紙幣からホログラムを剥がして偽札に貼っていたなんて事件もあったようです。剥がされた方のお札はATMで両替して使ったとか。個人的には、そんな地道な作業をするくらいなら、働いたほうが儲かると思うんですけどね。

カード番号のエンボスがホログラムにかかっていることが多い

ホログラムは、カード番号のエンボス加工が掛かる位置に貼り付けられているように思います。全部がそうであるかはわかりませんが、少なくともエンボス加工されてしまえば剥がすことは不可能になりますね。

また、一般カードではホログラムの外周を爪でなぞると、引っ掛かりが感じられますので、裏からプラスチックを削ってゆけばなんとかなるかもしれません。

一方、ゴールドカード以上になると、ホログラムシールの上からコーティングされているようで、上からこすってみても、引っ掛かりはないので剥がすのも難しいでしょう。

新技術の導入も今後増えてくる

今のところ、ホログラムが脆性シールと言う、剥がそうとするとぼろぼろに崩れるものでできているという情報はありません。

ICチップは耐タンパー性と言って、分解すると壊れてしまうようにできていますから、いずれホログラムについてもそうした技術が導入されるでしょう。

また、今のホログラムは、裏側に金属メッキを施し、その反射で絵柄を浮き上がらせています。それに対して、ホログラムの構造によって光を回折することで絵柄を浮き上がらせるリップマン・ホログラムが採用されたカードもあります。

今のところ、一部の企画もので、限定カードにしか使われていません。ANA-JCBのワイドゴールドカードで、カードの券面上を飛行機が飛んでゆくように移動するというものです。金属メッキが必要ないため、デザインの自由度が高いようですね。

デザインもさることながら、かなり偽造は難しそうだと思いました。今後はそうした技術も利用されるでしょう。

潜像技術は利用されていない

日本の紙幣や硬貨には潜像技術というものが使われています。500円硬貨の0の字の中や、紙幣の表裏にあります。紙幣の場合、表面には角度を変えて見ると額面金額が表示され、裏面にはNIPPONの文字が浮かび上がるようになっています。

こうした技術も偽造防止に使えるのですが、クレジットカードでは利用されていないようですね。

※ 掲載の情報は2019年7月現在のものです。

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