法人デビットカードは銀行で個性が強い。自社にあった物を選ぼう

会社経営をされている方なら、法人口座でデビットカード運用ができないかと言うことを考えた人も多いんじゃないかと思います。起業して日が浅いために、法人クレジットカードが作りにくいと言うこともあるでしょう。

黒字の決算書が出せないと、与信枠にも制限が厳しくなります。経費処理する社員ごとのカードがある場合、クレジットだと未払金がかさんで決算内容に影響が出るかもしれませんね。上手な使い方を見てみましょう。

法人デビットカードと法人クレジットカードの比較

法人名義のデビットカードとクレジットカードの違いは、基本的に個人のデビットカードとクレジットカードの違いだと考えてもらえば、問題ありません。

どちらも決済口座が法人口座になり、カードには利用者個人の名前が表示されます。

利用のたびに口座から引き落としが行われるのと、月一回の締め切りでまとめて引き落としが行われるのが大きな差ですね。

ビジネス用途のデビットカードも一長一短。経営ポリシーで選ぶ

法人デビットカードと言うのはあまり聞きませんが、法人カードよりも便利な物なのでしょうか。
それほど多くの銀行から発行されていませんので有名じゃないかもしれません。クレジットと比べた場合、一長一短なので経営ポリシーに沿う物かどうかで判断することになるでしょう。

法人デビットカードとは、次のようなカードです。

  • 銀行の法人口座に対して発行されるペイメントカード
  • 日本ではカードに VISA または JCB の国際ブランドが付いている
  • 原則として利用と同時に口座から引き落とされる
  • VISA または JCB の加盟店でクレジットカードと同様に利用できる
  • 一部の加盟店や利用法では使えないこともある
  • 利用枠は原則として預金口座残高が上限になる
  • 一部の銀行では 1 日 500 万円とか月間 3 億円の上限が設けられている
  • 社員カードが発行できる物もある
  • 利用金額に対してキャッシュバックやポイント付与がある

個人向けデビットカードとほとんど同じですね。ただ、利用上限額がけた外れに大きくなっています。銀行によっては口座残高以外の上限を設けていないところもあります。

経費の経理処理がクレジットカードより簡単になる

法人名義のクレジットカードとデビットカードでは会計処理がそれぞれ次のようになります。仮に事務用品をカードで購入した時の例を見てみましょう。

  • デビットカードの仕訳例:
     ・事務用品を購入した時:[ 事務用品費 / 普通預金 ] (ここで完了)
  • クレジットカードの仕訳例:
     ・事務用品を購入した時:[ 事務用品費 / 未払金 ]
     ・カード代金が引き落とされた時:[ 未払金 / 普通預金 ](ここで完了)

このように。デビットカードは利用した段階で会計処理が完了します。それに対してクレジットカードは未払金で処理して、月に一回まとめて引き落とし金額を処理すると言う二段構えになります。

引き落としの時はまとめて一回で済みますが、社員が利用した届けを忘れていたりすると借方 / 貸方が一致しなくなりますので、それを追跡する手間が発生します。

そういった意味では、デビットカードは省力化に優れていると言えるでしょう。

銀行口座は法人契約でもデビットカードは個人名義になる

法人デビットカードでも、券面に表示される名義人は個人名になります。ペイメントカード(クレジット・デビットなど)は個人に対して発行されるのが基本です。ですからサイン決済が可能なわけですね。

考え方としては個人向けクレジットカードの家族カードと同じです。家族カードは契約者本人であっても使えませんね。それと同じで、会社が社員に対して発行したカードは、その人しか使えないのです。

暗証番号もサインもカードに書かれた名義人の物だけが有効

会社のカードなのに、社員個人の名前が書かれていると言うことですね。ではその社員が退職した場合、カードを後任者に引き継ぐことはできるのでしょうか。
それはできません。カードは券面に記載された名義人しか使えないので、その人が退職する際にはカードを回収して銀行に返却し、後任者のための新たなカードを発行してもらうのです。

そのカードの名義人が不正行為などで懲戒解雇された場合など、カードが回収できないこともあります。そうした場合には、事態が発覚した段階で速やかに銀行に連絡して、そのカードを無効にしてもらって下さい。

届け出が遅れた場合、それは契約者である法人の責任になりますから、補償は受けられません。

サインを求められたら券面記載の個人が自分のサインをする

日本で発行されている国際ブランドデビットは、全てエンボスレスカードになっています。つまり、インプリンタを使って伝票にカード番号を写し取る取引はできません。

また、2018年6月に施行された改正割賦販売法によって、カード加盟店はICカードへの対応が義務付けられました。

このため、ほとんどの銀行・カード会社は、新規発行・更新発行のカードにはICチップを搭載しています。

クレジットカードなどの取引は次の3タイプに分けられます。

  • インプリンター取引:電話でオーソリ・手書き伝票にサイン
  • 磁気ストライプ取引:自動でオーソリ・機械発行伝票にサイン
  • ICカード取引:自動でオーソリ・PIN(暗証番号)で認証

アメリカで行われている、PIN 入力の代わりにサインで対応するという「 PIN スキップ」は日本でも可能ですが、推奨されませんしお店によってはカード利用を断られます。ヨーロッパでは PIN スキップはできません。

ですので、国際ブランドデビットでサインをするのは、旧式の読取機や旧式のカードを利用するときだけです。そして、この場合は法人カードでもカードの裏面に記載した個人のサインを使ってください。法人名の記入をしてはいけません。

法人デビットカードは事業歴が浅い会社や営業成績が悪い会社向け

法人向けのペイメントカードの代表は法人カード(クレジットカード)です。

しかし、法人カードは事業歴が浅い会社や、赤字決算が続く会社には発行されないことが多いです。

また、積極的に法人カードを発行しているアメックスなどでも、決算内容によっては実用的とは言い難い限度額が設定され、結局社長の個人用カードになってしまうことが多いです。

突き詰めればすべての中小企業のビジネス向けとも言える

法人デビットカードはなぜすべての中小企業向けなのでしょう。中小企業は法人クレジットカードではダメなのでしょうか。
クレジットカードは企業の業績によって限度額が決まりますが、往々にして必要とされる限度額に届かないことが多いのです。その点デビットカードは預金残高が限度額なのでおすすめなのです。

例えば起業間もない会社で社員が10人だったとします。でもそのレベルの会社ではせいぜい100万円程度しか与信枠が与えられません。これではビジネスで使うには不十分です。

一方、社員が100人いて事業が快調な会社であっても与信枠が1,000万円では、やはり社員カードを発行する場合不足してしまいます。デビットカードはそうした制約がないので便利なのです。

特に「利益は十分上がっているのに、事業年度数が足りなくて与信枠をとってもらえない」と言う会社には最適ですね。

また、「利益は別にしてキャッシュフローが大きい」と言う会社にもデビットカードは向いています。

省力化や経営ポリシーに適していれば是非利用を

法人クレジットカードで運用している場合、少なくとも一か月分のカード利用金額が事業年度をまたぐ未払金になります。もちろんその事に何の問題もないのですが、そうした事を嫌う経営者さんもいますね。法人デビットカードでは未払金が発生しません。

また、先に紹介したとおり、クレジットカードの利用ではどうしてもヒューマンエラーによる貸方 / 借方の不一致が出やすく、それがなくても引き落とし日の会計処理が発生します。

僅かなことですが、そうした事務効率の向上のためにはデビットカードのほうがおすすめですね。

法人デビットカードの比較

日本で発行されている法人デビットカードは10種類に届きません。その中でどれが自社に適しているかを考える参考に3つを比較してみます。

どちらかと言うと個人事業主向けから、場合によっては大企業でも利用できるようなものまで様々なものがあります。

カードが一枚しか発行できないビジネスデビットもある

法人デビットカードと言うと、多くの社員に社員カードが発行できるようなイメージがあるのですが。実際には何枚くらい発行できるのでしょう。
銀行によりけりですね。1枚しか発行できないものもあれば、ほとんど1万枚まで発行できるものもあります。

いずれの場合も、国内のATMは使えません。また、国内・海外ともショッピングには問題なく使えます。

楽天銀行
ビジネスデビット
みずほ
ビジネスデビット
りそな
ビジネスデビット
国際ブランド JCB VISA VISA
カード発行
可能枚数
9,999 枚 10枚 9,999 枚
新規発行手数料 無料 1 枚目無料
2 枚目以降
・税別 1,000 円/枚
無料
年会費 税別 1,000 円/枚 無料 メインカード
 税別 1,000 円
サブカード
 税別 500 円/枚
年会費特典 なし なし 年1回以上の利用で
翌年無料
(カードごとに判別)
キャッシュバック 利用金額の1%
キャッシュバック
なし 利用金額の0.6%
キャッシュバック
利用限度額 普通預金残高の
範囲内
普通預金残高の
範囲内
普通預金残高の
範囲内で、
ショッピング
・3億円/月
海外ATM
・100万円/月
(カードごと)
海外ATM利用 × ×
付帯保険 なし 海外旅行傷害保険
(条件付帯)
海外旅行傷害保険
(条件付帯)
盗難補償 なし あり あり
コンタクトレス
決済
2019年2月現在
未対応 VISA の
タッチ決済対応
VISA の
タッチ決済対応
付帯サービス なし VISA
ビジネスオファー
など
VISA
ビジネスオファー
など

こうしてみてみると、一長一短はあるもののりそな銀行のビジネスデビットが頭一つ抜けた感じですね。とは言え、法人の場合メインバンクとのお付き合いもありますから、そのあたりも勘案して決めてください。

以外に役立ちそうな法人デビットカード

こうして見てみると、これまであまり注目されなかったのが不思議なくらい、法人デビットカードはビジネスに役に立ちそうですね。業務の効率化、省力化を考える上で検討すべき課題かもしれません。

業務の流れを変えるのには少し勇気がいりますが、リスクの少ない方法ですので、ぜひ考えてみてください。

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