デビットカードの返金は遅いと考えよう。システム運用の落とし穴

デビットカードで買い物をして、それをキャンセルや返品した場合、なかなかお金が返ってこないという話をよく聞きます。実はこれ、システム上の弱点もありますし、加盟店側が運用をよくわかっていないと言うこともあるのです。
ある程度は利用者側でコントロールもできますから、意識しておきましょう。もちろん、返品やキャンセルをしないのが一番ですけどね。
今回は国際ブランドデビットの方に特化したお話です。
キャンセル処理については J-Debit と国際ブランドデビットでは少し異なります。J-Debit での処理は調べた範囲で複数の情報があって確認できなかったので、今回は国際ブランドデビットでお話しします。
ますは返品やキャンセルをどのようにするのかと言うところから見て行きましょう。
返品やキャンセルは可能な限り早く行わないといけない
国際ブランドデビットのシステムは、クレジットカードの決済システムを利用しています。ただし、デビットカードと言う性質上口座からは利用と同時に預金から引き落としが行われます。
ただ、それが自動的に加盟店に送られると言うわけではありませんから、キャンセルや返品の際に少しだけ猶予が生まれるのです。
- デビットカードで買い物をする
- クレジットと同じように電信でオーソリが行われる
・クレジットの場合ここで利用情報が登録される
・デビットの場合、ここで口座残高が減る
・どちらもこの段階では売り上げは確定していない - 加盟店は1日分以上をまとめてカード会社に請求する
・伝票を電送または郵送する。自動で行われることもある。 - カード会社は締切日ごとにまとめて加盟店に支払いを行う
・この時に手数料を差し引く
・クレジットの場合この後、会員の口座から引き落としを行う
このようになっています。つまり、デビットカードで買い物をした場合でも、引き落とされたお金がすぐに加盟店に送られず、請求と支払いと言う手続きがあります。
ですので、その手続き前にキャンセルや返品が行われれば、カード会社から加盟店への支払いは行われませんから、カード会社の手数料も発生しません。
また、加盟店が一旦支払いを受けているわけですから、カード会員の口座への組戻しは行われず、別段の手数料を支払って振り込んでもらうことになるでしょう。
キャンセルできない商品やサービスもあるので事前に確認
商品の性質上キャンセルや返品ができない商品もあります。例えば、注文後加工が発生するようなものです。お肉をスライスしてほしいと注文して、スライスが終わってからキャンセルすることは原則としてできません。
オーダーの衣服や家具などもそうですね。また、ホテルの宿泊やレストランの予約などは、キャンセルできる期間が決まっています。予約前にはキャンセルポリシーを理解してからにしましょう。
キャンセル処理は商品やサービスを止めることだけではない
キャンセルの際に注意しておかないといけないのは、商品を受け取らないとかサービスを受けないと言うことが伝わったら OK ということではないことです。
消費者側にとって最も大切なのは、デビットカード処理も正しくキャンセルされたかどうかを確認することです。
引き落とし後請求しなければ自動的にキャンセルにはなる
それには 45 日~ 60 日が必要で、預金者から「キャンセルしたので組み戻してくれ」と言っても、銀行はそれを行うことができない仕組みになっています。それを行うには、加盟店からオーソリの取り消し処理を行う必要があるのです。
キャンセルが受け入れられたら、必ずお店の人に「オーソリを取り消してほしい」と求めて下さい。電信処理で取り消しはできますから、できればその控えをもらえば万全です。
オーソリの取消しがあれば数日で組み戻される
デビットカードを利用した場合のお金の動きは次のようになっています。
- オーソリが通った時:引き落としが行われる
- 加盟店から請求が行われるまで:口座からは引き落とされているが、それは他の用途にそのお金が使えないようキープされているだけの状態
- 請求が行われ請求締日まで:上と同じだが、毎日が締日になっているケースもある
- 請求締日から加盟店への支払日まで:お金は加盟店への支払い用に準備される。これ以降はキャンセルすると組み戻し手数料が発生する
- 支払日:お金が加盟店の口座に振り込まれる。デビットカード取引が完了する。
このような流れですので、加盟店がまだ請求をカード会社(国際ブランド・銀行・代行会社)に送る前であれば、オーソリの取り消しだけでキャンセルできます。
また、加盟店からの請求締日前であれば、やはりキャンセルは可能です。但し、この場合は加盟店が手数料を請求してくる可能性はあります。
締め日後は手数料なしにキャンセルはできません。場合によってはキャンセルや返品が拒否されることもあり得ます。
加盟店が積極的に取り消し処理を行えばすぐに返金される
上でも少し触れたとおり、キャンセルや返品が受け付けられた際に、加盟店がカード端末機を使ってキャンセル処理(オーソリの取り消し処理)を行えば、銀行はすぐに組戻しを行ってくれます。
遅くとも翌営業日にはお金が口座に戻るでしょう。例えば、土曜日の夜にキャンセルが受け付けられた場合、平日であれば月曜の処理になるので、火曜日には口座に戻るだろうと言うことです。
返金は本来すぐに行われるもの
請求が行われないことが確定するというのは、次のようなケースです。
- 加盟店からオーソリの取り消しが送信された場合
- オーソリから 45 日~ 60 日以上経過しても請求が行われなかった場合
つまり、加盟店がキャンセルを受け付けた時に「請求しなければ自動的に返金されるから、取り消し処理は行わない」と言うやり方をしていた場合、2か月前後待たされることになると言うことです。
これは国際ブランドや銀行に責任はありません。あくまで加盟店の責任なので、返金が遅い場合キャンセルしたお店に「取り消し処理をちゃんと行ってほしい」と申し入れましょう。
システム上数日の遅れは起こる可能性がある
顧客にとって最もありがたいのは、すべてがリアルタイム処理で行われる場合です。
- キャンセルをする
- 加盟店がその場でオーソリの取り消し電文を送る
- 国際ブランドがそれを銀行に自動転送する
- 銀行のシステムがリアルタイム処理でオーソリを取り消す
- 銀行のシステムがリアルタイムで組戻しを行う
この流れになっている銀行だと、キャンセルを申し入れて受け付けられれば、そのお店を出るころには残高が戻っているでしょう。一方、銀行がバッチ処理(複数の処理をまとめて行う方式)を採っているとタイムラグが出ます。
銀行のシステムが、組戻しなどの処理について、例えば ATM 営業時間内にしか行っていない場合、深夜のキャンセルでは翌営業日の営業時間までオーソリの取り消しが行われません。
さらに、オーソリの取り消し処理から組戻しも、その日の分を夜間にまとめて行う方式だと、その翌営業日になってはじめて組戻しが行われます。それでも長くて 2 ~ 3 営業日後には戻るでしょう。
返金が遅くなるのは加盟店の問題
ですから、返品やキャンセルを行う可能性がある商品にデビットカードは使わない方が良いです。また、不良品などでキャンセルする場合は、お店の責任者の在席時間を確認して、そうした人に処理を依頼する方が良いですね。